HI-COOK Café vol.027
「美味しさ」をつくる達人に、逢いにゆく 06
のれんを守り続けて百八十余年──飴の俵屋
対談
- アサヒ装設株式会社 代表取締役社長:山本 康太
- 飴の俵屋 代表取締役社長(8代目):俵 冬樹
金沢で最も古い飴屋「飴の俵屋」。定番の「じろあめ」をはじめ、本店限定商品も並ぶ。穏やかな語り口の俵さんから、のれんを守る姿勢を伺った。
じろあめと
1830年(天保元年)創業。初代・次左衛門が、母乳が出ず困る母親たちのため「栄養価の高い代替食」を求めて生み出したのがじろあめ。
国産の米と大麦、白山の伏流水だけで仕込み、とろりとした食感、自然な甘さ、すっきりした後味が特徴。
生活必需品としての歴史
本店(金沢市小橋町)は金沢市保存建造物。いまも量り売りを続け、器を持参すればその場で詰めてもらえる。暮らしに根ざした古き良き風景が残る。
栄養面
- エネルギーは342kcal/100g(砂糖より10%以上低い)
- 少量のたんぱく質、ビタミンB群・ミネラル(大麦由来)
- ゆっくり吸収され血糖値スパイクを起こしにくい
→ 妊産婦・病中病後・乳幼児の栄養補給に重宝。料理や飲み物の甘味料としても利用。
4日かける製造工程
- 1日目:米を洗い、何度か水を替えながら一晩浸漬。
- 2日目:米を蒸して麦芽(大麦の芽)と混合し糖化。温度が高すぎても低すぎても不可。糖化後、固液分離して一晩静置。
- 3日目:糖化液を蒸気釜で炊いて濃縮。季節で硬さを調整(夏は硬め/冬は柔らかめ)。さらに一晩静置。
- 4日目:味・硬さが落ち着き完成。
時代の変化と新提案
砂糖の普及で需要が減る中、俵屋は「じろバター」(無塩バター×じろあめ)を発売。パンはもちろん、さつまいもなどにも好相性。
粉末砂糖より扱いにくい側面はあるが、安全で栄養価も高い自然甘味として、健康志向の今こそ可能性が大きい。
コラム|加熱の重要性(編集部)
伝統食品の現場を訪ねるほど、加熱工程の設計が「美味しさ」と「安全性」を両立させる鍵だと実感する。中食では安全要件が厳しく、オーバークッキングとのせめぎ合いになりがちだが、物価上昇下では“よりおいしい”が最大の差別化になる。
アサヒ装設は、おいしさと衛生を両立できる加熱機器の提案を一層進めていく。
アサヒ装設 テストキッチンのご案内
担当:開発部 西村 健人
- 新商品を試作したい/新食材を試したい
- 焼き目・炙り・炭火風味を再現したい
- 生産性向上・工程短縮を検証したい
- 既存品のリニューアルを検討したい
実機同等の設備で、原料持ち込みの試作、配合・工程検証、排気や衛生の確認まで可能。経験豊富な技術者が並走し、導入前に“味・仕上がり・使い勝手”を確認できます。
ご予約:アサヒ装設 本社・本社工場 TEL 076-275-8159(事前予約制)
出展情報|FOOMA JAPAN 2025
- 会期:2025/6/10(火)– 6/13(金)10:00–17:00
- 会場:東京ビッグサイト 東1–8ホール
- 小間:東6ホール 6P-57
- テーマ:Clean & Taste(おいしく、きれいに、いつまでも)
初披露(参考展示)
- 高効率ガスフライヤー DOBC-45B-X型
排熱再利用の高効率燃焼/3点温度制御/搬送間隔調整で最適油量/オプションで油煙除去 - インピンジメントオーブン IMPEJ-80BS-2-X型(SH搭載)
外部過熱水蒸気で流量制御/特殊ノズルで素早い焼き色/上下独立可変速ファン/2段式・連結対応
ライン提案(一例)
- コーティング:生パン粉付け機BRG-F/バッターHBSN-F/微粉PDM-F/ドラム式打ち粉MLP
- 成形:プレート式成形機PF
- 環境・品質:食用油濾過CFAD-30/真空濾過KH/油煙除去OMC
こだわりびと vol.27|広報部部長 山本 竜
入社17年目。ITと広報を統括し、技術と人をつなぐ環境づくりに尽力。幼少期にPC・工具に触れた体験が原点。現職では“余白を残す”マネジメントで主体性を引き出す。文学・哲学・心理学など敢えて未知に挑む姿勢を貫き、再び大学で学び直し中。モットーは「興味がないこと、自分ならしないことに挑戦」。