HI-COOK Café vol.003
変化の時代に、“食材に優しい温度”を探る
新年のごあいさつ
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年はCOVID-19の拡大により、企業を取り巻く環境が大きく変化しました。テレワークやオンライン会議が急速に普及し、業務の効率化が進む一方で、face to faceのコミュニケーションが減り、意欲や熱意といった感情の共有が難しくなるという課題も見えてきました。
丑年は「我慢の年」「発展の前触れの年」と言われます。状況が落ち着いたとしても、単に元に戻るのではなく、オンラインとオフラインを効果的に使いこなすことで、新たな発展へとつながる一年となることを願っています。
令和3年1月吉日/代表取締役社長 山本康太
HI-COOK Tech|食材に優しい調理温度
衛生面への配慮から、必要以上に高温での調理が“当たり前”になっていないでしょうか。外食の現場では、**より低温の“食材に優しい温度”**で旨味を最大限に引き出す調理が注目されています。
低温で揚げるとんかつ・天ぷら
低温でじっくり揚げたとんかつは、白めの衣で軽い食感、肉は最後まで歯切れ良くやわらか。天ぷらでも、衣に微細な孔を持たせて低温でも素早く水分を抜き、風味を保ちながら火入れする店が増えています。
低温調理の要点
袋詰めした食材を温度制御された液体に沈め、表面から中心まで同一温度に保って加熱します。
肉の例では、
- ミオシン(約50℃~)が変性し歯切れが良くなる
- コラーゲン(約56℃~)が長時間でゼラチン化
- 60℃前後で色調変化、66℃付近でアクチンが変性し水分流出しやすい
→ 50~66℃の範囲でミオシンだけを狙って変性させると、しっとりやわらかに。
植物でもデンプンやペクチン等の変性温度帯を理解し、最適化することで同様に質の高い仕上がりが得られます。
衛生と風味の両立
低温域は衛生管理がシビアです。スチーマーや低温帯の過熱蒸気、前後工程での鉄板焼き・炙りを組み合わせることで、狙いの中心温度を確保しつつメイラード反応による香ばしさを付与できます。
効率だけでなく、食材に優しい調理×衛生担保が両立する機械の温度管理を突き詰め、より“おいしく調理できるモノづくり”を目指します。
※メイラード反応:還元糖とアミノ化合物の反応。褐色と香ばしさが生まれ、概ね154℃以上で顕著。
HI-COOKを訪ねる旅|金沢の「加賀れんこんちっぷ」
金沢市・河北潟で無農薬・無化学肥料の栽培に挑む農事組合法人『蓮だより』。自社畑のれんこんを自社加工場でスライスして素揚げした**「加賀れんこんちっぷ」が全国で人気を集めています。現場で活躍しているのはHI-COOKフライヤー**です。
蓮だよりの挑戦
代表の川端さんは「好きな仕事で価値を届けたい」と一念発起し起業。栽培の“常識”にとらわれず無農薬でのれんこんづくりに挑戦しました。レストランへの地道な売り込みで評価を広げ、規格外品の価値化としてチップスの商品化へ。
手作りから設備導入へ
当初は一槽式フライヤーで完全手作業。油のギラつきも課題でしたが、業務用HI-COOKフライヤーの導入で油切れが改善し、作業効率も向上。厚薄が混じる手切りの不揃いが心地よい食感を生み、産地ごとの味の違いも際立ちます。粉々になったチップスはふりかけとしても人気。いまや年間20,000袋規模へ成長し、海外からの引き合いも多数です。
さらなる最適化へ
スライス投入から搬送・油切りまでを安定化するため、商品特性に合わせた投入口~出口のフロー最適化や温度管理の改良など、次のフライヤー設計を共同で進行中。「れんこん愛」を起点に、栽培・加工・販売をつなぐものづくりが加速しています。
製品情報|HI-COOKフライヤー(最終ページダイジェスト)
- ガスフライヤー DC-FS(2021モバックショー出展予定)
米菓・スナック菓子など幅広い製造に。投入・搬送・温度制御を最適化。 - 高効率フライヤー DOBC-B型(2021モデルチェンジ予定)
熱交換器で排熱を回収し再利用。温度ムラを抑え、油切れのよい仕上がり。 - 熱交換器式フライヤー DLN型
コンパクトかつパワフル。原料投入から排出までのライン対応、大量生産向け。
出展情報|MOBAC SHOW 2021(第27回製パン・製菓関連産業展)
2021年3月9日(火)~12日(金)/インテックス大阪・3号館329
米菓・スナック菓子などに適したフライヤーやオーブンを出展予定。