HI-COOK Café vol.002
変化の波を乗りこなす:ツール、食材、そして現場から
日常が大きく変わった今、私たちの“ものづくり”はどこへ向かうのか。コミュニケーションのツールは日々進化し、食のフロンティアでは新しい食材が次々に台頭しています。さらに、コロナ禍の海外現場レポートや、社員の“こだわり”に迫るパーソナルストーリーまで。アサヒ装設が届ける小さなニュースレターから、次の一歩を考えます。
出典:HI-COOK NEWS LETTER FROM ASAHI SOSETSU co., ltd. vol.002
トレンド|ツールの変化を追い越せ
2019年末に始まった世界的な感染症流行は、働き方を大きく揺さぶりました。メール中心のやり取りは、チャットとWeb会議へと急速にシフト。案件ごとに横断メンバーでチャットグループを立ち上げ、要望・経緯・判断をリアルタイムで共有することで、意思疎通の速度と透明性は確実に上がりました。
一方で、情報の“受け皿”をどう育てるかという課題も現れています。個々人のタイムラインに流れ込む情報量は増大し、重要度や関与度に応じた取捨選択・再編集のスキルがますます問われています。電話もまた、Web会議への置き換えによってスケジューリング化・資料共有・多人数での意思形成がしやすくなりました。ツールが変わるだけでは足りません。変化に合わせて“使い手”である私たち自身がアップデートされるとき、ものづくりの現場はもう一段強くなるはずです。
HI-COOK Eye|新たな食材の台頭
ここ数年、“次世代フード”の代表格として植物肉・代替肉・培養肉が話題です。米国発のスタートアップが牽引した市場は拡大を続け、背景には環境意識の高まり、健康志向、そして2050年に向けた“たんぱく質危機”への備えがあります。
代替肉は原料や技術がブランドごとに異なり、脂身や赤み、風味の再現まで綿密に設計されています。培養肉は幹細胞から“文字通りの肉”をつくる挑戦で、コストも着実に低下。日本由来の大豆ミートも研究が進み、発芽段階の大豆を用いるなど味の調整技術で食べやすさが向上しています。
私たちに求められるのは、“おいしさ+安全性”を満たす食材を、安定的に、適切に調理できる機械とプロセスを磨くこと。食の技術進化に歩調を合わせ、現場で価値に変えていきます。
現地レポート|コロナ禍でのタイ(バンコク)
寄稿:代表取締役会長 山本洋志/2020年9月
往来制限下でも、タイでは強制隔離や入場管理アプリなどで市中感染を抑制し、生活は次第に日常へ。観光客激減の痛手はあるものの、産業活動はほぼ平常運転に近づきました。9月開催の食品見本市「THAIFEX-Anuga Asia 2020」では出展・来場ともに大幅減でしたが、その分、実のある商談に集中できた手応えがあります。
テレワークやWeb会議は定着しました。ただし、画面に映らない“未来の兆し”は現場にこそ潜んでいます。Webで情報を徹底的に収集・咀嚼しつつ、終息後には最速でフィールドに出て検証できる準備を――その覚悟が、新しい時代を生き抜く企業の生命線になると感じています。
こだわりびと|製造部・宮本剛史
山を駆ける脚が、仕事の質を押し上げる
秋風の朝、正門を颯爽と走り抜ける社員がいる。製造部の宮本剛史だ。彼を魅了するのはトレイルランニング。泥、岩、木の根、起伏に富む山道を、自分の体と対話しながら駆け抜ける。12時間、20時間のレースにも挑み、目標は月間300km。いつか富士山の100マイルレースへ――。
タイムだけを追うのではなく、立ち止まって景色を味わう余白も大切にする。その姿勢は、長丁場のプロジェクトを丁寧に進める仕事の力学にも通じている。素足感覚で地面を捉える自作サンダルは、楽しみと効率を両立する“工夫”の結晶だ。